スマホやタブレットで首の骨が危ない
電車の中や待ち合い場所など、暇つぶしで触っていない人の方が珍しいぐらいになってきました。
使い方によっては非常に便利なスマホなのですが使い方によっては身体にダメージを与えるものでもあります。
「スマホネック」という名前を聞いたことがあるでしょうか?
スマホを触りすぎて肩こり、頭痛、しびれ、その他不定愁訴の症状が出てしまった状態のことです。
別名「ストレートネック」とも言われ、頭を支えている首の骨である頸椎(けいつい)が正常な位置から逸脱してしまっている状態です。
頭の重さはその人の体重の1/10程度と言われています。例えば50Kgの人であれば5Kgぐらいの重さが背骨の真上で支えられている状態です。
背骨の真上にあればしっかりと背骨で支えられるのですが、これが前に倒れると支えるのはかなり難しくなります。
解りやすいように例を挙げます。(自身で実験的にやってみると実感できます。)
①ボーリングの球(程度の重さの物)を手で持って頭の真上で支えてみましょう。
②その状態で1分間耐えましょう。
どうです?余裕でしょうか?少し休憩を挟んで、次に
③その球を45°の角度まで降ろしてきましょう。
④その状態で1分間耐えましょう。
どうですか?耐えられましたか?腕がプルプルした人もいたでしょう。
これがスマホを覗いている首の状態なのです。かなり無理がかかっていると理解できるでしょう。
しかも日に何度も何度もスマホを弄っている度にこの負担がかかっているのです。
北斗神拳のケンシロウぐらい首が太ければ余裕で耐えられますが鍛えていなければ無理です。
特に警鐘を鳴らしたいのが
寝そべった状態で使っている人です。これはもう45°では済みません。
この状態で長時間スマホを弄っていると、知らず知らずの内に首の筋肉と骨に深刻なダメージを受けるのは目に見えています。(読書でも同じです。)
本来、首を支えている骨である頸椎(けいつい)は7つの骨が段々に積み重なり、全体として前方向に弓状の弧を描いている前湾(ぜんわん)という状態を保っている状態が正常なのです。
この状態あれば骨の中に形成されている血管や神経を通すためのトンネルは正常で問題ありません。
これが前述のように負担を強いられると徐々に前湾が無くなり真っ直ぐな状態になります。この状態をストレートネックといいます。
首の骨を積み木のようなイメージとして持たれている人には一見ストレートに並んだ物体の方が重いものをしっかりと支えられるような気がするかもしれませんがそれは間違いです。頸椎の関節は単純な平面ではありません。
本来、前湾を保った状態で骨同士が噛み合っていて頭を支える事ができる少し複雑な関節ですのでストレートに伸びてしまうと関節自体が不安定になるのです。
上図のオレンジ点線部分が骨の中のトンネルで、その中を脳に繋がる重要な神経が通っています。
関節自体が不安定になるとその分周りの筋肉が頭を支えないといけません。
首の筋肉が疲労することはもちろん、血管や神経も正常なトンネルを通れなくなってしまうので、場合によっては血管や神経を圧迫してしまうことがあります。
この不安定な状態が不定愁訴の原因に繋がります。
この状態を避けるために日常の姿勢には気をつけていただきたいのです。
気をつけるべきポイントは
- 胸を張る
意外かもしれませんが猫背予防には「背中を伸ばす」ことより「胸を張ること」を意識したほうが効果があります。
男性であればネクタイがプラプラしない位置、女性であればネックレスのトップがブラブラしないように意識しましょう!
スマホを操作するときも同じで出来るだけ胸を張った状態、視線を上げて操作するようにしましょう。
- 長時間の操作は避ける
長時間同じ姿勢にあると身体は固まってしまいます。このような症状は総称して「姿勢性症候群」とも呼ばれています。
同じ姿勢をしてからおおよそ20分程度で身体は固まるとされていますので1時間に3回ぐらいは意識して身体を伸ばすようにしましょう。
スマホ操作をしていると自分で思っている以上に背中は丸くなっているものです。
少し意識するだけで将来起こりうる症状を未然に防ぐことが可能なのです。
さて、この記事をここまで頑張って読んでくださった貴方、ひとまず画面を閉じて大き〜く深呼吸してください。